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Study Guide 2
Basic Desk Front - Information ⑤ Introduction (序章) W.A.Mozart-1.~2. W.A.Mozart-3.~4. W.A.Mozart-5.~6. W.A.Mozart-7.~8. L.v.Beethoven-1. L.v.Beethoven-2. L.v.Beethoven-3. L.v.Beethoven-4. L.v.Beethoven-5. L.v.Beethoven-6. L.v.Beethoven-7. R.A.Schumann-1. R.A.Schumann-2. R.A.Schumann-3.~4. R.A.Schumann-5.~8. J.Brahms-1. J.Brahms-2. C.A.Debussy-1. C.A.Debussy-2. C.A.Debussy-3. C.A.Debussy-4. C.A.Debussy-5. C.A.Debussy-6. C.A.Debussy-7. Postscript(後記) ReferenceData
St.Augustine, Confessions Anicius M.T.S. Boethius, De institutione musica Flavius.M.A. Cassiodorus, Institutiones Anonymous, Musica enchiriadis Anonymous, Scholia enchiriadis Bartolome Ramos, Musica practica Heinrich Glarean, Dodecachordon Gioseffe Zarlino, Instituzioni armoniche Thomas Morley, A plain and Easy Introduction to Pratical Music Vincenzo Galilei, Dialogo della musica antica e della moderna J. P. Rameau, Traite de l'harmonie J. J. Rousseau, Lettre sur la musique francaise Charles Koechlin, Traite d'harmonie Edmond Costere, Mort ou Transfigurations de L'harmonie Knud Jeppesen, Counterpoint Paul Henry Lang, Music in Western Civilization Carl Parrish and J.F. Ohl Masterpieces of Music Before 1750 H. M. Miller, History of Music Donald Jay Grout, A History of Western Music Hermann Keller, Das Wohltemperierte Klavier von J.S. Bach Werk und Wiedergabe Peter Bastian, Ind I Musikken Vincent Persichetti, Twentieth Century Harmony Diether de la Motte, Harmonielehre Katharine le Mee, The Origins, Form, Practice, and Healing power of Gregorian Chant Hugh Trevor-Roper, PRINCES AND ARTISTS Patronage and ideology at Four Habsburg Courts Pierre Boulez, penser la musique aujourd'hui Kevin Bazzana, GLENN GOULD The Performer in the Work 検索
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2012年 02月 27日
2012年 02月 27日
Basic Desk Front - Information ⑤ 序章 古典派の和声 * W.A.モーツァルト * L.v.ベートーヴェン ロマン派の和声 * R.シューマン * J.ブラームス 印象派の和声 * C.A.ドビュッシー Postscript (後記) 2012年 02月 27日
![]() さて、理論的・論理的な矛盾のひとつの例を示そう。 音楽理論の歴史において、人間が創出する和声のことを何でも解きあかそうとして、なぜそれが可能となったのかという問いを発することが和声学の始まりだといわれる。これは、和声学とは理論的にしかも論理的に何でも明らかにして説明しようとするものである、という意味である。そのためには、私たちは「大作曲家たちの創意工夫はプログラムできないものである」という言動を慎む必要がある。なぜなら、検証を拒否する知識には事実に近づくのを妨げる偏った見解があるからだ。 _ こうした検証を拒否する知識や偏見によって、 たとえば、 J.S. バッハ _ Messe、Chorales、 モーツァルト _ Symphonie No.41 "ジュピター" 、 ベートーヴェン _ Violin Sonata No.5 "春" 、 マスネ _タイスの瞑想曲、の和声の事実には、 規則違反あるいは禁則となる不快な響きがあり、 それは古典音楽にはあり得ない例外・不可となってしまうのである _ この偏った見解が、意識的に、ルールが古典音楽や一般的な音楽においてさえ「基本的基準」であると見せているのである。このことは、虚構的テクストとしてのルールの地位を主観的に示す論述を通してだけでなく、現代の理論家が旧態理論の批判として論じているように、規則主義的認識とその過程、すなわち一切の多様性・変化性を排除する一元化、概念の外延に関わる定義であるにもかかわらず、自己意識的な正誤判断、さして実体論的思考のないような非現実的な分類を通して行われている。したがって、それは理論と演習ともに多数の実体の結合・分離という「和声の仕組み」を理論的・論理的に説明したものではないのが事実である。 「規則違反あるいは禁則・不快な響き、古典音楽にはあり得ない例外・不可である」が与えるのは、けばけばしい事実からの逃避であり、閉ざされた演習の使用価値を離れれば、何の価値ももたない。経験する実体が存在しないなら、それらは死んでおり、文化の面から破壊的である。古典の客観的実在性の直接的・間接的な否定は、無邪気な誤りで済まされるものではないからである。それらを、それだけで妥当性のあるものとして扱うことは、明証化、概念化、象徴化の歪みを助長する。音楽人にとって、このような後退的規定は妥当性をもたない。それに加えもっと受け入れがたいのは、つまり理論の価値は、人間の思考活動によって生み出された音楽以外のものにより正当化されるという考えである。理論の価値を別の目的のための単なる道具と見ることは、悟性であれ理性であれ共通感覚であれ、人々の音楽の合理的経験を封じ込め偽装の論理を再演することである。そうした理論が正当化されるのは、「日本的ローカル・スタンダード」の限られた領域内においてであり、「グローバル・スタンダード」においては様々な実践的実在を放棄した便法にすぎない。実際、この検証を拒絶する理論と論理は現代の日本の音楽界を悩ませているものなのだ(客観的帰結_http://boethius.exblog.jp/i47/) 。 周知のように、日本の和声学はルールに向き、古典音楽を背にして見ないようにしてきた。それがいまなお宿題としてある。私たち人間の合理的な体験が棚上げにされる限定・制約という選択は、実践によって具体的・現実的に統一される人間の本来的な思惟と歴史的な存在とは合致していない。一義的な概念を固定化する定義はもう限界に来た。この奇異を通り越す概念規定はよく知られた意図的な事実隠しの問題にも関係している。旧態の概念硬直したルールを放置する一方で、次の世代が将来背負う理論的矛盾に眼をつぶれば、機能理論への不信はさらに高まり古典和声学を維持するのが難しくなる。だが、かつて我が国の音楽界には、規則禁則の妥当性を正面から問うこともせず、また自らが事実の証明に用いている対象と認識方法を明らかにすることもなく、「和声学は限定・制約に準じる以外に選択肢はない」の言説を繰り返している。それゆえ、公理_限定進行・規則・禁則というルールを遵守していない和声構造はすべて美的不正であると主張して、古典音楽がもつ多様性を逃れ、何ごとも無批判に従う日本人の思考に合わせた「理論と演習」を提示する規則主義者がいた。 「和声とは何であるか」という問題を捉える認識論において、我が国のあるメディアの理論解説者が、理論に関わる書籍評のなかで「歴史上の大作曲家たちは、このルールに従って曲を書いたのではない」と、わざわざ注意を呼びかけているように、そうした概念的方向とその視点は自明であり常識化されている。ルールは本来的和声学としての役割から外れていること、あるいは、少なくとも事実の論述に還元できない架空の定義であることを認めたのである。それはまさに西洋音楽における和声的事実全体の問題を論じる場合、基本的認識にほかならない。私たちがこのような一般原理を理論の問題に対して当てはめてみるなら、つぎのような事実が分かってくる。すなわち「古典における和声の特性を保全しようとする限り、そこで観察される実体そのものはすでにルールの支えなしに成立していたのである」。 ![]() にもかかわらず、他方で「古典という概念そのものを俯瞰できなくなっている考えを、概念的に「西洋の古典音楽としての正しい和声のあり方」として概念規定することは妥当なのだろうか? その実践的実在という、実体を例外視する概念化が理論的に矛盾していることは明らかである。こうした矛盾は事実をルール化する際の対象と認識基準とのセマンティカルな問題であり、理論構成の意味においても概念の象徴化においても和声学は歴史的実在を枠組としているからである。 古典の様式とは、人間が歴史上において獲得したものであり、綿密な知識とノーマルな聴感覚に裏打ちされた検証を通じて人間を豊かにする経験の対象である。そうした現実の古典の経験は、理論の基本的象徴と本質的概念となるものである。理論がその認識根拠と概念規定で古典と結ばれているのは個々の音楽理論家の生きた経験や検証があるためである。とするなら、古典隠しの理論は,裏を返せば古典壊し(恐し)の理論となる。私たちがたとえ事実排除の疑似的概念(ルール)を擁護しまた援用したとしても、それはあくまで演習のための便宜上の手段にすぎない。だから、なんらかの音現象を古典和声と認めるためには「事実であるもの」と「事実ではないもの」を前もって区別しておく必要がある(古典和声の検証_http://glarean.exblog.jp/i18/) 。 一般的な検証作業が理論を強くするのである。 音楽理論は、従来神の啓示をもって最高の認識と考えた中世的知識論あるいは無謬の神話から成り立つものではない。神学的な教典でもない。他の命題の証明を曖昧にした和声学は、一歩を誤ると、自己批判的機能を失った単なる先例主義に堕する恐れがある。多種多様な音列や進行はすべての音楽に決定的な役割を演じているのに、その中のひとつを取り上げ「これが古典における正しい和声のあり方である」を定義することがいかに困難かは容易に察しがつくことである。ある様式の中に概念が一つしかないというようなことは決してあり得ない。それどころか概念には個々の様式や事象ごとに様々なあり方が可能である。事実、ルールによってつくられた典型的な思考形態である規則主義は、文化的に熟知された様式特性と食い違う問題点を解決していないために古典の和声的事実全体を確保できなくなっている。ほかのことはさておいて、厳めしい律儀な超越的思弁を、また、事実の単純な論述に還元し得ない愚直なルールを基本的基準とする目的を喪失させてこそ、和声学は和声に関する分析データを手に入れることができる。 メディア・アクセスが発達している現代社会においては情報を隠すのは難しい。 逆に情報不足によって学問的不安を生みかねない。日本の機能理論においては、規則禁則という形而上学的な仮定を執拗に振りまわす認識論が放置されたままであり、言ってみれば、思考の対象とする認識論の起源と古典の実践的事実を理解しようとしない説明的思惟は、実は人間的実質を犠牲にすることによってのみ可能な擬似和声に依存した無内容な概念規定によるものである。多様化する理論の知識環境に対して、その構造認識は鈍感で貧弱になる。この方法で古典和声が求められる時、遂には知る権利に発していないこと分かってしまう。その背後にはバッハ、モーツァルト,ベートーヴェンのような自由はあってはならないとの「あきらめ」がある。結局のところ、規則主義者は前提と基本概念の問題を論じながら、事実の隠ぺいを正当化する既成の理論と論理に戸惑いを覚え次第に追い込まれていった。 理論家たちの実践的な関心を惹くに値する事実のすべては、彼等が選ぶ構造の認識基準とその検証プロセス次第である。理論構築においては歴史書と同じようにあらゆる事実を示すようなことはできない。これはなにも古典的な事実を挙げていったらそれこそ論述スペースが足りなくなるという理由からではない。そうではなく、そもそも事実を再生する最終的な真理とか事象を定義する一義的なルールなどというものは決して存在しないのである。 和声学は歴史という織物の中で人々を共感させた象徴概念を学ぶために存在する。 象徴概念はひとつの自立した事象である。それは伝承され成長し続ける。象徴は未来におけるいまだ実現されていないものに向かって現実を乗り越えるという構造を有している。つまり、人間は象徴概念によって現実に働きかけその現実を変えていくのである。その概念は、知の累積的な進歩を生み出すためにも、また追試可能なものとなり納得のいく言説を生み出していくためにも必要とされるものであろう。とはいえ、規則主義的基準の登場によって認識と存在における発展的法則の矛盾は解決されたといわれながら、従来から疑問とされてきた知識の可能性にかかわる問題を相変わらずかかえ、眼目となる概念の動的な形成過程において、その内包を明らかに与えるための確かな認識方法を取得できないでいる(バロック和声と古典派和声_http://rousseau.exblog.jp/i14/) 。 とすれば、私たちは次の三つの包括的な検証結果を自らに提出する必要がある。古典すなわち芸術作品における和声構造の認識根拠とその過程に関する検証である。他の命題の演繹の基礎となる「公理定理」は、事実に適合しない不合理な概念規定から解放されているのか? 特定した「古典」とは何を指し、「正しい」とはどのような方法で見い出された認識基準なのか? いずれにせよ、シンボル的な理論においては、人間的表出の開放性をとらえるために欠かせない古典の直接的な解析、さらには実証的研究のもたらす実践的課題との取り組みに対して無関心でありながら、「バロックから、古典派、およびロマン派初期までの和声を体系的に学べる理論構成である」のアイデンティティは、ルールがつくりだす時代遅れの理論状況をあらわにする。 今日、従来の19世紀的な認識根拠とその過程を引きずる和声学は、各分野から人間性の復権、認識の可能性の限界をめぐる現代的志向を背景に、知識の起源・構造・妥当性を研究する音楽理論の一部門として方法的革新を要請されており、概念の成立根拠とその過程を批判的に問いつつ、ある現象だけを一集合にまとめた特殊な概念に帰することなく、多くの概念を分かちもつ可視化された理論構成が求められている。もちろんそういった構成には課題はいまなお多い。思いもしない障害が立ちはだかるかもしれない。だがそれを乗り越えることで,理論はより確かなものになってゆく。検証をさまたげる偏狭な先入観や事実からほど遠い定義に対する検討策として、歴史に関わる決定的な世界観および実践的存在と結びついた直接的な明証性を高度化させ、対象の構造認識の初段階から概念規定の実証能力を最大限投入することは不可欠である。 2012年 02月 27日
![]() 序章 p.11 和声の変遷 p.12 Direction1) 「教会 12 旋法」から<教会 2 旋法>の集約を経て、「旋法の多様化」にいたる歴史 的な経緯を把握しよう。 左ページ、音組織_の項、下方向の↓ 音組織の数は、 多 (中世) ↓ 少 ↓ 多 に変容する D2) 3 和音と7の和音の和声素材があらわれた時代様式を答えなさい。 左ページ、音程・和音_の項、下方向の↓ 上から3番目 D3) 和声作法の<対照的和声構成法>とはどのようなものか想像してみよう。 上巻 p.29 譜例 10. ↑ モーツァルトはこの伝統的な対照的和声法によるシステムを 見つめていたことがその和声法の分析から判る ↓ 下巻 p.71 譜例 261. 263. 264. 265. Question1) 段落・終止法における終止和音に< 完全3和音 >が用いられるようになったのはいつ 頃か? 右ページ、段落・終止法_の項 Q2) 中世における音組織「 教会12 旋法 」がそのまま復活するのはいつの時代か? 右ページ、和声作法_の項 Q3) 印象派の和音構成法の中で、あなたにとってすでに響きが判っている和音素材はどれか? 左ページ、下方向の↓ 上から4番目_ 和音構成法の多様化_の中にある・4つの和音素材 教会旋法と和声法 p.14 D1) 教会旋法がオルガヌムに始まるポリフォニーとホモフォニーの中でどのように変化しながら生 き続けたのか、その過程をたどってみよう。その歴史的・実践的存在は、とりわけ古典派和声 の一般原理に関わる理論や論理に欠くことのできないものである。 要点となる事項: 旋法性 音階的な概念をこえた特有な表現方法 トニックとドミナント 変化音としての変ロ音 D2) 15行目「各旋法には、... グレゴりオ聖歌の教会調は分類される」を理解しなさい。 D3) 15世紀の和声における新しい傾向とは、どのよう実体概念であったのかを認識しなさい。 フォーブルドン 旋法和声が頂点を極める16・17世紀の和声法 旋法の2極化 D4) 2極化の要因となる伝統的な和声法に注目。 旋法和声を滋養としながら成長する 18 世紀の調和声 フーガやソナタなどの和声的骨格 D5) 教会旋法の復活。 旋法作法 新しい調概念 D3) p.15 には教会旋法と和声法との関係についての概略が実践および理論用語で示してある。 教会旋法の推移 p.16 〜p.17 D1) 教会8旋法の名称を答えなさい。 左ページ、教会12旋法_の項、Ⅰ〜Ⅷ D2) 中世-教会12旋法のtonic と dominant との音程の違いがある。 左ページ、教会12旋法_の項、Ⅰ〜Ⅻ _における白音符 / 下方がtonic、上方がdom. Q) 印象派の音楽において、以前には存在しなかった旋法があるが、その名称は? 右ページ、旋法の多様化_の項、下から2番目の旋法 音程・和音表記法 p.18 音程表記法 集積音程表記法 和音表記法 p.19 a. 通奏低音法 < 和音の転回形について > 周知のように、歴史的にみて旋律的・和音的な和声構造性に対する認識は、なにも古典派あるいは近代・現代になってようやく始まったものではない。和声の起源以来、いかなる時代のどのような様式の音楽であっても、水平的・垂直的な表出目的と美的感覚は音楽全体を通してつねに意識されるものであった。ルネッサンス時代に見られるすべての実践とその作品は、3和音の響きがもたらす種類上の音響効果_和音の種類変化を、さらに異なる形態上の音響効果_和音の転回形(枠内のカッコに示す)_を表出しようとしている。 ひとつの例を挙げれば、響きの扱い方、すなわち和音連結法による「18の異なった組み合わせとその配置」を用いた G.P. da パレストリーナが、彼の多くの合唱曲において「転回形という和音形態による響きの違い」を実践したという歴史的事実はよく知られている。 b. 和音記号 p.20 c. コード・ネーム Q) ( )m7 と ( )m7-5 および ( )dim の和音性質の違いは何か? d. 音度記号 D) 下巻のトレイニング・プログラムにおいては、属7、短7、導7、減7、および長7の和音を頻繁 に扱うので、< 3方式によるその和音表記法 >をチェックしなさい。 和音の読み方 p.22 D1) Dm7-5 を英式の読み方(英語名)に注意。 D2) Ⅳ Ⅱ Ⅶ゜ 7゜+7 の和音記号を日本語名で読めるようにしよう。 2012年 02月 27日
Ⅳ 古典派の和声 p.24 < 古典派和声の概念 > 古典派和声とは何か? この定義は、音楽概論を悩ませてきた。これまで多くの定義が示されてきたが、和声学的にみて十分であると証明され、論議の余地なく受け入れられたものはどれひとつとしてなかった。かつて私たちは、古典派和声はポリフォニックな技法が姿を消しそれに代わりホモフォニックな技法による構造が特性であると考えていたが、これとて例外ではなく、数えきれないほどの批判にさらされた。はっきりしているように、この定義は和声の歴史的経緯を把握できていない構造認識であり、実証的研究によって示された様式の起源および範囲の論述を通してそうした根拠の明確化が困難なように見える。いかに巧妙な手口を用いたところでこのような見方では満足のいく定義は得られない。というのも、一方を立てれば他方が立たなくなる。そもそも定義に用いた歴史観は、根源的な中世・ルネッサンス和声の両義性さらにはバロック和声の多種多様な書法による表出など、それらが共有する共通感覚(常識)と音楽史における古典派という過渡期に現れたそれとの連続性(継承)を正確に映し出すことができないからだ。周知のようにポリフォニックおよびホモフォニックから成る2つの書法による和声構造はいつの時代にも存在する、ただし新しい形で。 古典和声は例外視できないリアルなものである。したがって、古典和声の構造物を破壊するのは、歴史的・実践的存在からの安易な逃避を誘発する思考と概念的方向である。同じく、美的認識に依拠する経験について言及した理論と論理であるといいながら、古い和声学が行ってきた固定観念のひとつ、すなわちルールという表出の可能性を断念させる「限定・制約」である。たとえ、ある作曲家の作品に見られるあるひとつの現象をルール化し、その規定がその作曲家のあらゆる作品を包含することができたとしても、象徴的概念がその限定・制約内に収まるという保証は何もない。それ自身が自己批判的機能を失い、自らを狭め、排他的な特殊化を進めている。 そうした事実とかけ離れてしまう概念の形成、そして演習の中だけでなく、公理といって理論のより深いところに浮遊する音進行に関わる限定や和音構成音重複の制約、たとえば、「導音は限定進行音である」「導音および第7音重複は禁則」という概念は対象の単なる部分的な現象を正しいといって定義すると同時にルール化してしまうために、概念と元になる古典とが完全に合致しなくなるのである。もし定義概念に普遍項があるとするなら、その普遍項がそうした本質をもつことを否定する。それゆえ、本質的な概念規定は人間的能動性の方向に向けられ、そういった視点から行われるのである。対象を概念的に規定するということは、対象が私たちに対してどのように働きかけてくるかを論述することにほかならない。 事実の考察に基づく実証的研究によれば、古典派和声の構造的概念は開かれたものである。その領域が文化的ステータスとするのは独創性と革新性である。人間が独創性と革新性をもつのは、私たちが根源的に自由な存在だからであり、それらは考察と分析によって獲得された事実を糧とし、古い規則主義的な思い込みへの固着から私たちを解放する創造的能力である。それらは、芸術家それぞれの拡大志向で、伝統的にもっているアイディアや先行した時代が残した諸条件をつくり変え、未だ実現されていないものに向かって現実を乗り越えるという構造を有している。私たちのもつ新しい知識が意に反して、旧態の断片的な理論と演習においてほとんど拘束されているのが常だとしても、その歴史的・実践的存在が観念的順応や一元的な繰り返しに限定・制約されることはない。 古典派和声の様式では、数的統一である唯一性は消失し、諸現象は多数の実体の結合・分離として説明され、過去の時代と同様に、相対的な認識によって形成された多様性・変化性が検証される。そうした本来的実体を指し示す一般的事実とは,定義・規定される以前の諸性質の元のかたち、すなわち「古典の世界」から抽出された直接的な「譜例」である。 ![]() モーツァルト (1756-1791) 1. 導音和音の増6度の和音化 p.24 Direction1) 和音表記がある「増6度の和音」の響きを把握しなさい。 D2) まず、p.22 和音の読み方 /上から2段目の枠/を参照しながら、譜例 224.225. 226. に表 示された和音記号を読んでみよう。 シャープ 減3よど の増6 ・ ・ D3) その和声を要約する。 譜例 224. Basic( 要約 ): ![]() 225. ![]() 226. ![]() D4) その和音表記の違いを確認し、それぞれの響きを比較しなさい。 D5) 増6度和音それぞれをコードネームで表記しなさい。 D6) 導音和音の増6度和音化の生成過程とその様態をつぎに示す。 a. 導音和音 p.25 1) 減3和音 2) 長3和音 [ 14c_Machaut, Landini, 15c_Ockeghem, 16c_Josquin des Pres, Palestrina, A.Gabrieli, 17c_Monteverdi の和声法 ] [ N.B. ] 上巻: 音程の和声 p.25 音程と3 和音の和声 p.46 3 和音の和声 p.55 バロック前期の和声 p.63 ↓ b. 導音和音の7の和音化 1) 属7の和音 2) 導7の和音 3) 減7の和音 [ 18c_J.S.Bach A.Vivaldi, G.F.Handel ] [ N.B. ] 上巻: バロック後期の和声 p.304 ↓ c. 導音和音の増6度和音化 1)( フランスの6) 2) (イタリアの6) 3) (ドイツの6) [ W.A.Mozart ] [ 和声法 - 増6度和音:] 低音下方変化 = 下行導音 低音下方変化の創出経緯は、15 世紀−音程と3 和音の和声における旋法和声の終止和声に起因する。フリギア調の伝統的終止法がそれである。その概念は、古典和声の考察と分析によれば、旋法和声「フリギア調終止法」の下行導音と符合するのが判る。(上、p.54 _ c.) d. 増6度導音カデンツ p.26 増6度導音カデンツを用いた段落・終止法 Question) 導音和音と導音カデンツのサウンド・イメージは、歴史の流れからみると、この時代に 至るまでどのような変化があったのだろうか? D) そのまとめをつぎに示しておこう。 音程の和声 《 14世紀 》 段落・終止法 導音化 導音和音と導音カデンツ 導音カデンツの転移 2重導音和音と2重導音カデンツ 2重導音カデンツの転移 導音カデンツとその転移 7の和音の導音カデンツ 複導音カデンツ については下記のページを参照 上巻 p.25 p.36 p.42 〜 p.45 ↓ p.53 〜 p.54 ↓ モンテヴェルディ p.80 〜 p.82 ↓ J.S.バッハ p.314 〜 p.319 ↓ p..349 〜 p.350 ↓ (下巻 モーツァルト) フランス、イタリア、ドイツの6の和音は理論的には増6度和音であるが、 しかし、聴覚的には: 増6度和音 = 属7の和音であり、 ![]() その事象があらわれる和声には、属7の和音_第7音半音(短2度)上行の 進行が聴こえる。 [ 和声法 - 第7音進行: ] 半音(短2度)上行 このように楽譜上の変化記号の理屈ではなく、感覚の世界では両者の和音性質は一致する。つまり音響的な感受面から直接判断するなら、第7音上行の現象はバロック・古典派和声様式においてすでに存在している。 歴史をふり返れば、モーツァルトは独創的な和声法「導音和音の増6度和音化」において、遠くは中世のフリギア的な旋法性を踏まえながら、近くはバロックの旋法和声の導音化に学び、未来に向かっては様々な現象を明らかにしてくれる導音進行と同じように、第7音処理の自由化を早くも予想し実践していたといえるだろう。すなわち先見の明とするに足りる、この「第7音上行の感覚」は次世代のベートーヴェンに引き継がれ、表現者たちがもつ想像力の飛躍とその領域の拡大を可能にしたのである。 理論演習 p.27 演習1 例1 (イタリアの6) 例2 (ドイツの6) D) 声部進行_並進行(連続)5度を聴き取りなさい。 例3 (フランスの6) D) 例1、2、3において、増6度音程の響きはどの声部でつくられているかを 調べなさい。 例 1 ![]() ![]() 演習2 p.28 ![]() < モーツァルトによる18世紀オープンシステム > 1) の課題に、交響曲 No.36 _ 1st Mov. bar 8~ の和音素材を引用してみる。 ![]() < 伝統的な旋法素材と和音素材 > 1)の構造特性は、上巻 サポートデスク_ J.S. Bach -1_古典和声の音組織_概念のシステム融合組織_の内容と重複するが、バロック和声における特性「伝統的な音組織_教会旋法」に象徴される素材と機能を共存させた複合構造であって、いわゆる前時代の概念的諸条件を継承する「18世紀オープンシステム」の典型例である。その本来的な「ハーモニー・コンセプション」と「コード・マネジメント」_が和声構造を多様にしている。 この独特な趣きは、旋法和声の構造特性を用いたものであって、それはJ. S. バッハの和声法をさらに一歩前進させた表出である。その基盤となる伝統的な旋法素材と和音素材をつぎに示す。(上巻 p.63, 65, 72 ) ![]() D) 同じ旋法和声の構造特性の例がある。譜例 246.の和声を考察し、どのような旋法素材かを答え なさい。 鍵盤演習 演習1 p.29 例 (ドイツの6)による並進行(連続)5度の響き D) まず、演習テーマであるサウンド・イメージ_増6度音程は、Bassと、どのパートで 表出する かを決める。 ![]() 演習2 p.30 D) 記されたコード・ネーム、和音記号すべてを読めるようにしなさい。その後で演習を。 演習3 ![]() p.31 ![]() [ N.B. ] [ 和声法- 導音カデンツの種類: ] p.25 中世 ⇨ バッハ以前 + バッハの和声法 + モーツァルトの和声法 ⇨ ↓ ↓ ↓ ↓ a. 導音カデンツ ・ b. 属7導音カデンツ ・ 減7導音カデンツ ・ (複導音カデンツ) ・ c. 増6導音カデンツ ![]() ![]() D) ここで演習した_1. 導音和音の増6度和音化_の概念を、たとえば、次の_2. 旋律 と和声の定型_鍵盤演習/演習3 p.43 〜 p.44 フランス民謡、フィンランド民謡の和 声化に応用しなさい。 Supplementary practice1) 上巻においてトレイニングしたモンテヴェルディ、バッハの和声法を踏まえ、また カデンツにおける作曲家それぞれのオリジナリティを見極め、その特徴あるスタイ ルに応じた表出(和音連結)をしてみよう。 例 < p.31_2) の低音旋律を課題にして > ![]() S2) Blog _ 上巻 大作曲家11人の和声法 _ [ Preface-前記 ] を再度読みなさい。 S3) 増6導音カデンツをシューマンは伝統的終止法として継承している。 [ N.B. ] p.241 シューマン_8.拡張的終止法_(2)増6導音カデンツ 参照 < 導音和音の歴史的変化 > カデンツ(段落・終止法)の歴史的経緯において、独特な感覚を生み出す導音化された3和音すなわち導音和音は、中世 14 世紀頃、旋法和声の自然導音を保有しない教会調_ドリア・ミクソリディア・エオリア(フリギアを除く)_の第7音を半音上げるという作法によってつくられた和音である。それ以降ルネッサンス・バロックの和声におては、導音進行を含めさまざまな形態に変容したことが考察できる。この導音和音の種類・性質変化は次世代のベートーヴェンによって引き継がれるが、ロマン派シューマンの和声にあらわれる飽和的 9・11・13 の諸和音、20 世紀_印象派ドビュッシーが用いた上部・下部付加音和音にまで拡大される。[ 譜例 224. 225. 226. ] 2. 旋律と和声の定型 p.32 譜例 227.〜 232. [ Idiom ] a. p.33 譜例 233.〜 236. [ Idiom ] b. p.35 譜例 237.〜 243. [ Idiom ] c. p.37 譜例 244.〜 246. [ Idiom ] d. p.38 < カデンツにおける第2転回形和音の位置 > [ N.B. ] 譜例 227. 強拍部に第2転回形の和音を用いた例 ![]() 譜例 229. 弱拍部に第2転回形の和音を用いた例 ![]() D) 譜例 229.のカデンツと譜例 227. 228. 230. のカデンツを比較しなさい。 鍵盤演習 演習2 p.43 < 和声法 - 声体数変換 > 声体数を変化させる作法:音楽作品における和声構造は、現実的に諸声部を織りまぜてつくられた「声体数変換による混合様式」である。 ![]() D) 演習では常に「声体数変換作法」を試みなさい。 [ N.B. ] 声体数の違いによる和声形態: 詳しくは上巻、第一部 旋法和声 モンテヴェルディ「9.教会調 による音程と和音連結 _p.148」の項に掲載してある。 演習3 ![]() ![]() Supplementary practice) 2)の終止和声に増6度和音を用いてリメイクしなさい。 ![]() ![]() ![]() 2012年 02月 27日
![]() < 対象との実践的な交渉 > ┏━━━━━━━━━━ D#) 和声概念の形成過程における様々な象徴化は、実際に機能している対象との実践的な交渉を基 盤にして行われる。つぎの「3. 保続音と4. 持続声」のセクションでは、「譜例の考察・分析 の現実性と効用性」について具体的に示しておこう。 ━━━━━━━━━━┛ 3. 保続音 p.48 a. 主音保続 譜例 247. D1) 「保続音を用いた和声」の和音表記法に注意。 D2) 「保続音を用いた和声の開始・終止点の構造」を考察しなさい。 開始・終止点の和声構造: 開始点 ( )終止点 3和音 3和音 └──────────────┘ ❶ b. 属音保続 譜例 248. 保続音( F )は、途中でリズム的に細分化されオクターヴ上にあらわれるが 元に戻る しかし、そのオクターヴ上の保続音はさらにオクターヴ引き上げられで持 続声(後述)として扱われる 後半の保続音上の和声( . . . . . . )は半音階法による 開始・終止点の和声構造: 開始点 ( )終止点 3和音 7の和音 └──────────────┘ ❷ D1) 譜例 247. の保続音上の和声と比較して、その「和声的構造の違い」を検証しなさい。 D2) 保続音の単純な持続ではなく、リズムを変化させる志向に注目。 D3) 保続音を用いた前半と後半の対照的構成法は、古典派和声様式の象徴的な構造特性である。 c. 上主音保続 譜例 249. 保続音はオクターヴで分散する形態 伴奏部分の最上声は分散和音 ソロの旋律はオクタヴを超えての展開 D) 譜例_下段に示した要約和声を基盤とする_上段の和声表出の実践状況が一般的な和声の現実 であることを理解しよう。 d. 第7音保続 譜例 250. 保続音がリズム的にモディファイされた保続音 d. 共通音保続 譜例 251. 異なる和音の構成音が共通する音の保続 Ⅰ Ⅳ └───┘ 252. Ⅴ Ⅰ └───┘ 253. 開始・終止点の和声構造: 開始点 ( )終止点 7の和音 7の和音 └──────────────┘ ❸ D1) 保続音の開始点と終止点における和音設定は3種のタイプ( ❶ ❷ ❸ )がある。 D2) この譜例において、属7の和音_第7音の進行には上行・下行の両義的な方向性が保続音上で 実践されている。つぎの世代_ベートーヴェンの和声においては、確かな実践的事実となる和 声法。 内声部の進行: 1〜2小節 3〜4小節 ┌────────┐ 第7音進行_ 長2度下行 と 長2度上行 < 保続音上の和声 > D1) 譜例を分析すると、保続音上の和声( . . . . )の和音の種類・性質変化は長・短・減・増の3和 音、そして各7の和音による様々な実践がある。 D2) 譜例 250. におけるその和声の多様な構造を考察しなさい。 直接的・間接的な「3和音の和音性質変化」の表出については譜例 248. および 譜例 250. D3) では、説明を読んで「保続音の定義」、譜例の考察と分析から「開始・終止点の和声構造」を 理解し,再度「和音表記法」を確認しよう。 ペダル音 低続音 開始点と終止点の協和的な処理 保続音を用いた和声の和音表記法 < フィギュア > D) 各譜例における「 保続音を用いた和声の“フィギュア”」を鍵盤演習のためにマークしておき なさい。 例 譜例 247. 低音部譜表_和音形態 譜例 248. 4小節からの低音部譜表_持続音のリズム型 など . . . 理論演習 演習 p.52 主音保続 ![]() コード・マネジメントを変えて、 ![]() 属音保続 例 開始点と終止点の和音設定のもうひとつのタイプを示す 開始・終止点の和声構造: 開始点 ( )終止点 ユニゾン 7の和音 └──────────────┘ ❹ D) ❶ ❷ ❸ と❹ における「開始点と終止点の和声構造の違い」を比較し、「構造的な可能性」を 吟味しなさい。 p.54 〜 p.55 ![]() 上主音保続 例 開始・終止点の和声構造:❷ p.56 ![]() 第7音保続 例 開始・終止点の和声構造:❶ 保続音上のコード_dim :通奏低音法の複雑な表記 4小節目 D1) 例の開始・終止点の和声構造に倣って課題を演習する。 ![]() D2) 保続音上の和声の和音設定において、上記例のように3つの和音の種類を変えてみる。 たとえば、 F( D♭ dim → F → C7 )F ( C F G dim ) 鍵盤演習 p.57 演習1 主音 ![]() 属音 p.58 ![]() < 保続音を用いた和声構造の可能性 > D) 譜例 247.〜 253. の考察と分析から得られた構造概念を基盤にして、課題 1) の開始・終止点 の構造的可能性を示す。 開始・終止点の和声構造: 和声構造:❶ ![]() 和声構造:❷ ![]() 和声構造:❸ ![]() 和声構造:❹ ![]() 演習2 ![]() 4. 持続声 p.60 譜例 254. 開始点と終止点の和音が一致する構造 共通音による持続声 255. ![]() 開始点と終止点の和音が異なる構造 分散和音の1音としてあらわれる共通音持続声 D) この楽曲に表出される持続声のあり方全体を、CD などで実際に聴きなさい。 256. (低音域)3度音程で動く順次進行・上下斜進行の2声を従えた持続声 その他: D) 下記の譜例にも持続声の和声がある。 譜例 228. p.32 ![]() 譜例 266. p.84 ![]() 理論演習 演習 p.61 例 持続声:最上声 開始・終止点の和声構造:和音が一致 D) このBass Line における休止を伴うフォーメイションを、鍵盤演習においても活用しなさい。 演習 1) ![]() 持続声:内声 開始・終止点の和声構造:和音が一致 D) 持続声の通奏低音法による表記法をチェックしなさい。 2) ![]() 持続声:最上声 開始・終止点の和声構造:和音が異なる 3) ![]() 持続声:(中音域では比較的低い)内声 開始・終止点の和声構造:和音が異なる 4) 持続声:最上声 開始・終止点の和声構造:和音が異なる ↓ ↓ Ⅰ ( ) Ⅱ7 └─────────────────┘ 鍵盤演習 演習 p.62 例 D) 楽譜に示した「3声・4声体和声」と「持続声フィギュァ」を次項の鍵盤演習に応用しなさい。 1) ![]() 2) ![]() ┏━━━━━━━━━━ D#) (まとめ)_このように、「譜例の検証」、つまり「現実性と効用性」の確保によって得られた 歴史的・実践的事実に基づく実体概念であれば、私たちは「認識根拠の確かな和声システムのモ デル」として演習課題に応用することできるのである。和声学における、この、「概念的方向と 視点」は、古典とその表現者の尊厳に出発点を求め、文化的・教育的な「相互承認」へともたら すひとつのコミュニケーション的行為となるものである。 ━━━━━━━━━━┛ 2012年 02月 27日
![]() 5. 半音階法 p.64 譜例 257. ![]() 258. 簡略化: ![]() 259. 譜例における下段の括弧は 半音階法の構造特性 を示す。 ![]() 260. Direction1) 音程・和音表記法の各記号を用いて和声を分析しなさい。 ![]() D2) 譜例 260. 「交響曲第41番-ハ長調 ジュピター 第3楽章 メヌエット、アレグレット」の 半音階法和声と管楽アンサンブルを駆使した個性豊かな管弦楽法を鑑賞しなさい。 [ N. B. ] [ 和声法 - 半音階法:] 和音性質変化と和音種類変化による半音階法 (上巻 p. 60_ 3 和音の和声 5. 半音階法 p.282_ モンテヴェルディ 14. 半音階法) 譜例 258, 259 は、 和音の性質変化・種類変化という、両方の技法で 構成された複合的な半音階法による構造特性 理論演習 演習 p.66 ![]() ![]() D) p.69 _ 3) を参考にしなさい。 p.67 ![]() ![]() 5) Eb major : D) 最上声は低音旋律に対して全音階的に反進行させてみよう。和音構成音_第3音重複を連用する と、まとまりがよくなる。 6) Eb major : D) 最上声の半音階的に上行する旋律に対して後半の低音旋律は半音階的に下行させてみるのもひと つの方法。 鍵盤演習 演習2 p.70 ![]() 6. 対照的和声構成法 p.71 譜例 261.〜265. [ N. B. ] p.74 における解説文の内容を表にすると、 和声運動 静 ← → 動 (Harmonic Motion) (Static) (Dynamic) 保続音(有-Freeze) (無-Free) 持続声(有-Freeze) (無-Free) リズム (細分化) ________________ 和声密度 低 ← → 高 (Harmonic Density) (Low) (High) 和音数(少) (多) 声部数(少) (多) ユニゾン 和音 ________________ 和声技法 A ← → B (Coloring) 原和音-原和声 変化和音-変化和声 全音階的 半音階的 摸倣(有) (無) カウンター・ライン(有) (無) 理論演習 演習1 p.75 例1 ユニゾン⇔和音 = パラフォニー⇔ホモフォニ (Paraphony)⇔(Homophony) 例2 和音_(少)⇔(多) = 和声密度_低⇔高 和声運動_静⇔動 例3 和声_原和声⇔変化和声 = 和声密度_低⇔高 (of PrimaryChord)⇔(AlteredChord) p.76 例4 保続音(静)⇔(動) = 和声運動_静⇔動 (Freeze)⇔(Free) 1) 例 1 の構造で: ユニゾン⇔和音 ![]() 2) 例 3: 原和声⇔変化和声 ![]() D) 3) は、例 2、4) は、例 4 の和声構造に倣って対照的な構成を表出しなさい。 3) 例 2 : ![]() 4) 例 4 : ![]() D) 5) 6) を実践しなさい。 5) 例 3: .. 6) 例 4: ・・ 鍵盤演習 演習 p.81 例 ![]() 理論演習 p.75 例 3 の構成法による和声 前4小節は、2個の和音 ↑ ↓ 後2小節(★)は、10個の和音が表出され、前4小節と比較して、 和声運動が活発で和声密度はより高い_イラスト/p.74 ![]() < Monophonic・Paraphonic・Homophonic の表出> ![]() 2012年 02月 27日
![]() 7. 転過音 p.84 譜例 266. 267. D) 譜例と解説に基づいて転過音就職による和声を把握しなさい。 例 1 上行する修飾:ほとんどが半音転過音 例 2 下行する修飾:全音と半音の両方の転過音がある 例 3 予備と転過音の音価はショート・カットされる場合が多い 理論演習 演習 p.86 例 1) D1) 全音と半音の転過音を用いる。 ![]() D2) テキスト示された和声に基づいて転過音を用いた和声を作成しなさい。 ![]() 2) D1) 必要に応じて変化記号を用いなさい。 ![]() D2) 転過音修飾による和声の概念を理解しその響きを把握しよう。 ![]() 鍵盤演習 演習 p.87 p.88 ![]() D1) 2)-1、2小節目の和音進行は、バロックや古典派音楽の和声には頻繁にあらわれる和音進行で ある。 Ⅱ → Ⅰ → Ⅶ゜ D2) 2)-2、7小節目のモーツァルトが用いた和音構成音の重複とその響きを覚えなさい。 Ⅴ7_ 第7音の重複と上行 p.64, 譜例 257. _ Symphonie No.40) その他 _ Konzert in Es KV 271) ............ ![]() < 古典派和声の一般原理:7の和音_第7音の重複と上行 > 和声学における概念定義において、実践が「先」、理論は「後」である。考察分析の対象・枠組である音楽文化すなわち作曲家の芸術的な思惟・存在が先であるにもかかわらず、その実体を再生するためにつくられた後である理論が、規定から外れた実践をプログラミングできないとする認識や論理は、古典派和声様式の客観的実在性の否定に向かわざるを得ない。少なくとも機能論的思考がその実体論的思考への配慮を忘れたなら、いつも一つの性質を示すのみであって、それは対象の実質的内実を見失い、常識として成り立たないであろう。 したがって、「7の和音_第7音の重複と上行」の事実を取り立てて正誤判断する必要はない。というのも、古典派和声(対象の枠組:モーツァルト・後述するベートーヴェンの和声)がそれなしには考えられないような恒常的・本質的な属性をもっているからだ。事実考察に基づく分析によれば、和声の表出には「第7音の重複と上行」の性質を伴わない和声とその性質を伴う和声という、構造上の違いが存在するのであって、この事象における両義的な実体は現実的で効用性のある機能性にほかならない。 バロック和声に展開された「導音の自由な進行と重複」の伝統的な和声法と同様に、「7の和音_第7音に関わる表出」には様々な形態が確証されている。譜例 257. Symphonie No.40 と Konzert in Es そして演習課題に示した各形態は、音域、リズム、時間的な差異によるものである。根音・第3音・第5音や導音に限らず、「第7音の進行と重複」に対しても限定・制約はないのが「古典派和声の一般原理」といえる。 8. 段落・終止和音の多様化 p.89 a. 第1転回形 譜例 268. F major : Ⅰ6 b. 属7の和音 269. 保続音和声から Ⅴ7 c. 減7の和音 270. Ⅶ、Ⅲ 上の減7の和音 d. 転過和音 271. 上行・下行および全音・半音による転過和音 272. 上3声が共に下行する変化音( ナチュラル B )を伴った転過和音 転過音となる隣音の音程関係が、全音や半音とは異なる和音構成音に注意 273. 上行・下行および全音・半音による複合的な転過和音 274. 下行する全音転過音 275. 低音旋律は転過和音内で修飾される p.91 D) 段落・終止和音の多様性を要約した各譜例と照合しながら、転過音と転過音和音についての定義 を確認しなさい。 理論演習 P.92 4) D) 段落・終止和音を譜例 275. に示された機能的な様態にまとめる。 ![]() 鍵盤演習 演習 p.93 ![]() D) 1〜2、5 〜6小節を、和声密度が低い「ユニゾン」、または「2声体」でデザインし、 コン トラストを意図したハーモニーを作成しなさい。 ( p.71 _6. 対照的和声構成法 のトラックを復習 !! ) < 転過和音修飾による段落・終止法 > p.90 および p.91に示した直示的定義と解説によれば、この転過和音修飾による段落・終止法の実践は、その箇所の和音種類変化という方法だけでなく、前時代が残した伝統的な諸条件_“区切り”や“終わり”の感覚が成り立つための事柄_を踏まえながら、新しい和声構造を創造してゆく存在である。 譜例 233. p.34 237. p.35 244. p.37 D) 上記の実例と譜例 271. 〜 275. p.90 に示された5種の現象と比較してみよう。 2012年 02月 27日
![]() ベートーヴェン (1770-1827) < 分析と総合 > 広範囲で多様な創出活動の過程・方法・実践的存在を性格づける概念枠組 実践と密接に関係する事実認識の一方法として重要なのは,理論であろう。私たちは,事実の確証とその実例から理論を構築する。つまり実践的事実と呼ばれるものに関与する認識根拠とその過程を問うことが、人間の機能であり、それを前提としている限り,客観的な認識として捉えられる知識体系が概念枠組となってはじめて、事実の認識が可能となるのである。このような概念枠組の中で,私たちは事実を取り扱うのであって、その枠組は、場合によっては、文化社会における常識的なものであったり、場合によっては、歴史的な経緯をたどりながら広い領域を対象にする高度な実証的理論であったりする。したがって、和声学では理論の転換が度々起るが、それは、概念規定の部分変更によるというよりは,むしろ、架空の定義や疑似モデルによるものではなく、事実分析に基づくあ新しい概念枠組をつり、それによって旧態の概念規定を再考するということに由来することが多い。 現代の和声学では、限定・制約の適用や一現象を一集合にまとめる特殊な分析に固執する理論構成が独断的として捨て去られ、そういった特殊な分析より歴史的・実践的事実の解明という視点が重視される。規則禁則的な問題と違って和声学的問題は、旧態的公理定理の不明瞭・混乱、不当な概念規定とそれに対する自己批判的な理性の関わりから生まれ、様々な方法で私たちの合理的体験と関連づけて問題の命題を明らかにするという基本的姿勢がその分析の背後にある。そして総合とは、一つのあり方からの構成ではなく、事実の解明の結果、新たな見取り図から得られる和声構造の全体像といえる。 < 導音カデンツの結合・分離 > 古典和声のもつ開放性を実際に感受できるかどうかは重要な問題である。なぜなら、もしそれが不可能であるなら開かれた価値ある和声の実践は成り立たないことになるからである。ある現象の生起という事実は、歴史的存在である諸要素が関係しあっていること、それらが互いに配慮し合っていることを示す思惟的動機を含んでいるのである。導音カデンツの連用とその転移を基盤とする構造特性は伝統的な段落・終止和声システムの多様な結合・分離として説明される。その多数の結合・分離を可能にし、新しい概念的方向を実践によって具体的・現実的に統一するのが古典派和声様式という場である。 1. 導音カデンツの連用 p.94 譜例 276. カデンツ番号_4、6、5 は、旋法和声_Ionian:/Lydian:/Mixolydian: (長旋法)_における段落・終止和声の象徴的構造特性 (上巻_ p.93〜94 p.304〜305 参照) [ N. B. ] C major:カデンツ番号( Cadence number )_4_属7の和音から始まる。この作品が 「ヴィーン」で初演された1800年はベートーヴェン、29才であった。自分の大演奏会 で自分の指揮による「交響曲作家としてのデビュー作」である。 Question1) 「開始和音」は他の2楽曲とは異なるが、その和音性質は何か? Q2) 譜例 276. の正格終止と偽終止、譜例 227. の正格終止と導音カデンツの増6度の和音化のニュ アンスの違いが聴き取れるだろうか? 277. カデンツ番号_2、4、5 Q) 譜例 276.および 譜例 277. の連用された3個の「導音カデンツ・モーション」が確認できただ ろうか? 278. カデンツ番号_1 が、5回繰り返され 2、5、4、がそれに続く この箇所に表出された「 5 種の導音進行」と「導音重複」を要約する ![]() [ N. B. ] [ 和声法:導音進行 ] * 和声学 Book 2 - Study Guide 1:J.S.Bach 5. * 和声学 Book 1 - Contents 1:10 - 実際に機能している和声法 < カデンツ表出における普通の人間の普通の音感覚 > 大作曲家が獲得した感覚を、私たちは過去の多くの学習者と同じように、演習で自分の耳にも慣れさせておく必要がある。和声表出において「自由な導音進行」と「導音重複」は、「J.S. バッハ」や「モーツァルト」でさえ認めている。この機能システムは、バロック・古典派の作曲家たちにとって和声における一般原理であった。このような常識は現代の音楽専門分野においても最低限の基本知識であって、いまや科学や検証以前の本来的な「共通感覚」となっている。 説明するまでもなく、バロック・古典派の作曲家は特異な考えや音感覚をもっていたわけではない。当然のように上述した和声現象は「多くの芸術作品が共有するごくありふれた現象」であり、「普通の人間が享有する普通の音感覚」によるものであることが分かる。というのも、大作曲家たちが実践した導音進行の多種多様な手法は今も昔も古典和声というステージに歴然と存在するからである。もし和声学が「導音進行は限定されるもの」「芸術作品に展開する導音の自由な進行の実例は例外的なもの」、あるいは「和声の世界にあってはならないもの」として事実の説明を放棄するのであれば和声を学ぶ意味はない。学習者は、将来、音楽文化社会が認める芸術家それぞれが作品において実践したもの、つまり、人間の自然な感性が分からなくて音楽教師、演奏家、作曲家、そして音楽学者や評論家になれるのだろうか? 音楽芸術による教育効果とは、他の諸概念との比較を通じ経験的に理解されるものであって、強制的に与えられる一元論的なルールに従うことや妥当性のない正誤判断にこだわることとは両立しないのである。 文化社会は認識根拠とその過程を批判的に問いつつ、多様なものの中にあって「導音進行は自由である」というバランス感覚をもった有機的な規定を、認識における基本的基準とみなしている。それこそが現代の音楽理論家が進めている情報公開で確証された伝統的な思考の概念的方向と視点なのだ。私たちが考えているように、古典和声とは歴史に遺された芸術作品が有する実体的概念によってとらえられた現象であるなら、私たちの日常体験、多様な知的活動の過程における想像力の中においてであって、それは、導音進行に関わるルールの矛盾をいまだに訂正していない命題・定義・理論の中で明らかになるようなことではないのである。 話を前に戻そう。譜例の考察においては大作曲家たちが導いてくれる「トレイニング・テーマ」は何かをつねに考え、自分自身の音感覚のために訓練しようとする意欲をもち、芸術概念とその実践に関わる事実を直接耳で確かめることを心掛ければ、自己形成のためのファクターを得ることができるであろう。たとえ、事実隠ぺいによる旧態の和声学それ自体が、古典和声の検証の結果であるルールによるものであることを主張するにしても、このことは今日の文化社会が認める音楽、すなわち、芸術作品を対象とした和声研究における検証と象徴的概念が「導音は限定進行音」を漫然と放置して、それを古典的な法則に定義することとは決して結びつかないからである。 < 和音進行の可能性 > D) Ⅴ → Ⅱ の和音進行に注意。 その他: p.135 理論演習2_2) ( Sieben Bagatellen No.2 ) p.154 Ⅳ調転調_移行句 ( Sonate Op.53 ) 参照 [ 和声法:和音進行 ] Ⅱ → Ⅴ Ⅴ → Ⅱ (第4小節 → 第5小節) < 並進行(連続) 8 度 > D)「並進行(連続)8度」を検証しなさい。 ![]() [ 和声法:声部進行 ] 並進行(連続)8度 (低音部譜表_第3、4、6小節) * 和声学 Book 1 - Contents 3:01 - バロック和声と古典派和声 その他: p.96. 理論演習1_例 2 ( 33 Variationen 0p.120 ):要約 p.113 理論演習1_1) ( 32 Varistionen in C minor ) p.125 理論演習1_1) ( Sonate Op.10 No.2 ):要約 p.146 譜例 293. 第4〜5小節 p.149 譜例 297. 第6〜9小節 < 導音重複 > D1) 第2小節 に存在する「導音重複」を再度検証しなさい。 ![]() D2) ベートーヴェンは、導音を重複して「 2 つの導音」をどのように進行させたのか、それに注目 しなさい。また、彼の導音進行とその重複に関わる音感覚は、先人たちと「共通する感覚」で あったのかどうかどうかを検討するために、上巻_バロック_J.S. バッハの和声における「導 音の基本的な概念」と比較してみよう。 D3) 作品の和声分析によって検証される和音構成音の重複、その中でも「導音重複」に関する一般 原理を考察しなさい 。 [ 和声法:和音構成音の重複 ] 根音 第3音 第5音 導音 * 和声学 Book 1 - Contents 1:06 - マザー・システム その他: p.113. 理論演習1_1) ( 32 Variationen in C minor ) p.125 理論演習1_1) ( Sonate Op.10 No.2 ):要約 p.149 譜例 297. 第7音 * 和声学 Book 2 - Study Guide 2:W.A.Mozart 7.〜8. < 属7の和音 _ 第7音長2度上行 > 現代では実体を現象の実証性に還元することを認識の条件とする思考が重要視される。したがって、この前提は対象に対する概念的要請である。このようにして認識される様々な性質を担い,多様に展開する根底にあって、相対的な均衡を保持する明証性と歴史的な人間の共通感覚に止まるものが、対象の実体と呼ばれるものである。古典派和声様式における「属7の和音_第7音進行」の実体概念は、バロック和声の伝統的な導音進行の本質的な属性と同様の結果が得られる。 18 世紀_古典派和声の属7の和音_第7音進行の現象には、下行・上行という個々の実体とその両方が同時進行する実体が検証される。しかし、この下行・上行・結合を具体的に実現するためには、その実践を可能にする何らかの場を前提にする。言い換えれば、第7音進行の両義的な事実は、先行した時代の様々な歴史的実在が関係し合っていること、それらが互いに等価値であること、それらが統一的全体に共に属するものであること、を示す思惟動機および万人が共有する共通感覚を含んでいるのである。 D1) 譜例 278. の *印のある箇所を拡大して、その現象を C major :において示す。 ![]() [ N. B. ] 「属7の和音 _ 第7音長2度上行」の現象形態は、モーツァルトの和声はもちろ ん、J.S. バッハの和声にも検証される。 Chorale:166. Von Gott will ich nicht lassen _185 FOUR-PART CHORALES [ 和声法:7の和音_第7音進行 ] < 歴史的実在 > 個々の実体 _ 下行・上行が単独であらわれる 短2度下行 長2度下行 長2度上行 結合 _ 下行・上行が異なる声部において同時進行する 短2度下行 長2度下行 + 長2度上行 ![]() * 和声学 Book 1 - Contents 3:02 - 基礎理論 D2) p.113, を開いてみよう。理論演習 演習1 2) Klavierkonzert No.5 の譜例のなかに、 4回連続する「第7音長2度上行」の現象が存在する。 その他の実例: p.149 譜例 297. 第5〜6小節 ( S0nate Op.10 No.2 ) 参照 D3) 下記の譜例においても、その概念が確認できる。 ![]() 理論演習 p.96 D) p.95 に示された「導音カデンツの連用」についての概念およびその定義を再確認しなさい。 演習1 例1 例2 例3 p.97 ![]() 演習2 p.98 例1 例2 D1) 例1、例2の和声において、トレイニング・テーマである<導音カデンツの連用>の和声構造 を把握しなさい。 この和声法に従い、上段の和声の和音それぞれに対して、それを解決和音とする 導音和音を先行させた和声が下段の和声となる。 D2) 例に従い演習を進めなさい。 < 導音カデンツの伝統性 > 表現者にとって伝統性とは、歴史的意識を伴うものである。それだけでなく、先行した時代の残した独創的な諸条件が現存しているのを知覚することを伴うものである。このことが、表現者の新しいものを生み出す多様な知的活動を、現代性を、最も意識させるものである。和声表出における現代性は、過去に対する感覚なくしては考えられないし、革新性を支えている環境、条件、生成の基盤を考察すれば、現存する伝統性を意識せざるを得ない。では、変導音カデンツの現象は,具体的にはどこに求められるのであろうか。西洋の音楽理論は、和声の歴史および和声学の中で、導音カデンツとその転移による段落・終止の構造システムは中世に始まり、その伝統はルネッサンス、バロックを経て 18 世紀_古典派の和声へと連綿と続いている経緯を論述している。各時代の表現者(大作曲家)たちは、先人の和声法を模倣しながら、しかも絶えず革新的な技法を生み出してきた。西洋和声の世界における伝統性とは、規則禁則すなわちルールという限定・制約されるものではなく、様々な目的や目標に向けられた志向や方法で具体的・現実的に古くから受け継いで行われてきている様式・共通感覚を実践する精神である。 D1) 導音カデンツの連用という和声を構成する「導音カデンツの伝統的な多様性と変化性」につい て復習してみよう。 ![]() D2) ( □ )で示した各導音カデンツを課題 1) に用いる。 ![]() ![]() ![]() 演習3 p.100 ![]() ![]() 演習4 p.101 ![]() 鍵盤演習 p.102 演習1 ![]() ![]() D1) 上に示した部分の和声構造は、一定の特徴ある旋律に対する慣用的な構成。 D2) 転移は、まず5度上、つぎに2度上に。 演習2 p.103 ![]() 演習3 p.104 ![]() p.105 ![]() ![]() p.106 ![]() ![]() 2012年 02月 27日
![]() 2. 根音変化和音 p.107 譜例 279. この表出概念は、古典派・ロマン派和声の一般性を示すことができる象徴 概念である D1) 和音記号の左側に記された変化記号に注意。 D2) 2種の根音変化和音がある。それぞれの表記と構成音を把握しなさい。 ![]() < 根音変化和音の生成過程と創出構造 > 変化記号がいかにあらわれようとこのフレーズの調性は F major : である。根音変化和音は、変化和声の歴史的な経緯を洞察すれば、変ロ音化によって生じる3種の和音の中のひとつがその起源であり、また 18 世紀当時の理論的知識体系がおよぼす作曲家の表出における思惟的動機にとっては、構造認識(創出・感受)の根拠づけが曖昧で煩雑な2次・3次・4次転義となる借用和音論(机上の論理)から成り立つ和音でないことは明らかである。実践が依って立つところの音感覚と和音素材を、彼等は、先行した時代が残した旋法作法に依拠した古典的構造特性という歴史的現象のうちに求めている。 [ N. B. ] [ 和声法:変化音 ] 上巻_ 和声の変遷 |音組織 | p.10 教会旋法と和声法 p.12 変化音 p.70 a. 導音化による b. 変ロ音化 c. 和音性質変化 [ 和声法:変ロ音化 ] 上巻_ Cantus mollis, Cantus durus p.109 ![]() 根音変化和音が含まれる変化和声の分析を理解するために、なぜこれらの視点が必要となるのか? その理由はこうである。分析は常に何らかの歴史や文化と関わりをもっている。いずれこの用法に触れる際に述べることになるが、もしそれは「グレゴリオ聖歌_旋法とその中の変化音_変ロ音 Cantus mollis 」に始まり、中世・ルネッサンス・バロックを経て、その概念を引き継ぐ旋法和声に依存しているとするなら、これらの要素は当然その和声の変化・発展・発生をうながす本質的要素になるからである。したがって原和声から変化和声への移行においては、「旋法変換」および「変化音」_導音化・変ロ音化・和音性質変化_の諸要素が契機となる。 それを考えれば、旋法和声の生成過程と創出構造の検証は、古典和声の考察を通して実体的概念の客観的な分析に必要な「認識方法の基盤」であり「構造認識の基準」であることが判る。 D3) 変化和声の「変化する」という観点から捉えられる様態を調べてみよう。 原和声から変化和声への移行に関わる要素: 1) ![]() 2) ![]() 3) ![]() ![]() D4) 「和声の骨格」が p.108 に要約してある。 D5) 「 根音変化和音の定義 」を読みなさい。 ハ長調における原和音と根音変化和音 原和音 根音変化和音 長3和音 属7の和音 これらの根音変化和音が、導音カデンツの多様化現象を生成するための和音素材である。長3和音は導音カデンツ構造のシステム機能において解決和音として、属7の和音は先行和音として用いられ、従来の変化和声のより広範な展開を可能にしている。この和声法の現実的・具体的な実践によってによって、古典派和声の調的概念は飛躍的に拡張される。 < 引き延ばされた並進行(連続)8度 > D) 「声部修飾を伴う並進行」が第 8 小節から9小節にある。 ![]() [ N. B. ] 他の例: p.146 譜例 293. p.149 譜例 297. 参照 理論演習 演習 p.109 D1) 演習に入る前に、p.108 の要約和声を聴き、根音変化和音をもう一度確認しなさい。 D2) 譜表-下段の表記に従った和音を示す。 ![]() < 導音カデンツ構造 の多様化現象> 導音カデンツ構造 の多様化現象とは、解決和音が原和音ではなく、根音変化和音となる導音カデンツ機能が投入される現象。課題 3)における 第4 〜 5小節の和声は、解決和音に根音変化和音を用いた「伝統的な根音進行 5 度の属性を有する導音カデンツ」。したがって、カデンツ番号は「6」 。これは後述する「 3. 変化導音カデンツ 」の一形態である。 鍵盤演習 1) 2) の変化和声は、いずれも根音変化和音_[ 変(根)] _を取り 入れた構成 ![]() D1) まず、根音変化和音を和音記号とコード・ネームで表記しなさい。 D2) つぎに、和声全体の和音表記をしてみよう。 D3) 2) の和声における Cantus mollis を指摘しなさい。 D4) 根音変化和音以外にあらわれる変化音について述べなさい。 [ N.B. ] 演習に示された設問の答えは、 D1) 〜 4)の問いかけに対する説明がそれである。 < 類推的な思考 > この根音変化和音の発想は、「ないのであれば、それをつくって前進しよう」という開放性、すなわち中世・ルネッサンス、バロック和声に存在した既存の旋法とその和声的な要素から、ある目的にふさわしい、新しい組み合わせをつくり出そうとしているベートーヴェンの直観的で前衛的な思考がみてとれる。新しい組み合わせの構想に当たっては、しばしば、先行した時代の残したモデルによる類推的な思考が、有効な役割を果たす。古典派和声様式におけるベートーヴェンの前項「 1. 導音カデンツの連用」や次項「3. 変化導音カデンツ」は、この点に着目して当時の現代的な創造的思考を実践しようとした試みとして、注目されるものである。
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